特別講演

特別講演Ⅰ

日時:6月9日(木) 17:30-17:50頃予定
会場:大さんばしホール
講演題目:
神奈川県のロボット産業に関する取り組みについて
講演者:
黒岩 祐治 氏 (神奈川県知事)

特別講演Ⅱ

特別講演Ⅱ高瀬先生日時:6月9日(木) 17:50-18:40
会場:大さんばしホール
講演題目:
工学界と医学界との相互理解への道
講演者:
高瀬 浩造 氏 (東京医科歯科大学 副理事 大学院医歯学総合研究科 研究開発学分野 教授)

講演概要:

 アカデミアにおいても,企業の開発プロジェクトの場においても「医工連携」が注目を浴びるようになって久しい.また現実に医学・医療と工学・エンジニアリングとの共同研究あるいは共同開発は大きな実績をあげてきている.現代の医療技術の進歩が工学系の進歩と工学系との連携に依存していることは疑う余地のないことであり,今後の医療の発展のためにも医工連携を強化することは必須の要件だが,医工連携の強化に必要な相互理解とはいかなるものなのであろうか.
 これまで医療界は法曹界と必要に迫られ相互理解を図ってきたという経緯がある.法曹界と医療界はそれぞれ価値観が異なることもあり,その道のりは容易ではなかったが相互理解が深まったことが確認されている.しかし,ここでの「相互理解」は,相互の価値観を尊重する,「こんなに違うんだ」という許容的なものにとどまっていることに注意が必要である.これに対して医工連携での相互理解では,価値観の共有が必要であり,共同作業による成果が得られなければならない.そこでの文化の違いによると思われる医工の認識の最大のギャップは,「安全」に関するものであるように思う.医療では,研究倫理的な側面も含めて医療水準としての広い概念で安全を理解しているが,工学では具体的な安全性要件の達成度が問題となるようだ.
 実は医療側には医工連携を積極的に推進せざるを得ない深刻な理由が存在している.それは,財政的な背景が医療・介護における大幅なコスト削減を要求しているからである.医療としては,コスト削減は受け入れざるを得ないが,どうにかして提供される医療の量と水準を確保しながら対応せざるを得ない状況に立たされている.このことを解決するためには,どうしても医工連携によるコストダウンと効率化というブレークスルーが必要と認識しているわけである.本講演では,この側面から議論を進めたい.